【拍手お礼 56】


-追憶の雨-


「悠さん?どうかしましたか?」
「いや…雨だな…って」
「そうですね…」

窓の外を見上げて、石川は曇った表情をする。
そんな石川を見て、岩瀬は―

「そんな心配しないで…?」
「…心配してるわけじゃ…ただ…」
「…昔の事を思い出しているんでしょう…?」
「…なんで解った…?」
「俺も同じことを考えていましたから…」
「そっか…あの日も、今日みたいに嵐の夜だったな―」
「そうですね…でも…」

ギュッと抱きしめた腕に力をこめ。

「俺は嫌な思い出ばかりじゃないですよ?」
「?」
「だって…あの事件のお陰で悠さんと一層強く繋がりがもてたと思うんで…」
「基寿…」
「…全てを忘れるのは無理ですが…。こうして徐々にいい思い出を作っていけば、いつかは笑って思い出せますよ?」
「…だといいな…」
「はい…」



雨は嫌な事も、良い事も。思い出させる―